逃げ出した過去もある。でもいまは、学生たちのアイドルとして、のんびり暮らしてるにゃん。
岡山県警の竹内浩一警視(57)が、岡山市北区にある県警察学校に副校長として着任した3月下旬。校舎に入ると、ロビーに一匹のネコがいた。
全体的に白く、頭やしっぽが黒い。まじまじとネコを見つめながら、ふと思った。
「なんでこんなところに、ネコがいるの?」
ネコはロビーを自由に歩き回り、教官室に入り込んだり、半開きになっているドアから裏庭に出たり、入ってきたり。
ロビーの片隅には、えさと水のはいった皿や、爪を研ぐための厚紙も置いてある。
ほかの教官にたずねると、10年ほど前から警察学校にすみ着いている雌のネコだという。
名前もあった。「たま警視」。ロビーには、ネコの寝床も置いてある。「たまホーム」と呼ばれていると聞いて、苦笑した。
おかたい警察がらみの話だが、たま警視についての資料は、ほぼない。ただ県警関係者によると、たま警視が警察学校に姿を現したのは、2014年ごろだったという。
警察学校の教官らが中庭にいたとき、やせ細り、あばらが浮き上がった野良猫が、足元にすり寄ってきた。それがたま警視だった。
非公認キャラでデビュー
ただ、警察学校でネコを飼えるはずがない。教官らは学生たちに注意した。「警察学校でネコは飼えないのだから、えさを与えるような無責任なことはしないように」と。
警察学校でネコは飼えない。そんな常識をものともせず、たま警視は……。やがて学生たちのアイドルになるまで、何があったのでしょう。
ところが、学生の誰かがえさ…